December 14, 2020
サガシリーズに根付くウィザードリィとローグの遺伝子〜河津秋敏氏のツイートから
GBのサガシリーズを復刻した、
『サ・ガ コレクション』の発売日が12/15ともう間もなくなのですが、
それに伴って、サガシリーズのプロデューサーを務めておられる
「河津神」こと河津秋敏氏が、
Twitter上の「#おしえて河津さん」というタグについた
様々な質問に回答しておられました。
その回答の中にいくつか個人的に興味深いツイートがあったので、
ピックアップしてみます。
やはり日本人なんで日本刀を最強にしたい、というのが一つ。ウィザードリィにMurasama Blade(つづりは間違ってません)というのが出てくるんですが、自分的には村正より正宗だろう、というのが一つ。FFやサガに変な名前の武器が出てくるのはウィザードリィの影響です。 https://t.co/96bK4VO1xS
— 河津秋敏 (@SaGa30kawazu) December 12, 2020
サガやFFシリーズに登場する「まさむね」にどういう設定があるのか、
という質問に対するご回答。
『ウィザードリィ』の最強武器であるMurasama Blade!を引き合いに出し、
日本人としては最強武器を日本刀にしたい、
そして最強の刀と言えば村正よりも正宗だろう…という思いで
実装されたとの事ですが、
ここではっきりと「ウィザードリィからの影響」を明言しておられます。
筆者が知る限りではFFやサガシリーズについて、
ウィザードリィからの影響の直接の明言は無かったと思うのですが
(FFシリーズの産みの親である坂口博信氏が
AppleIIのゲームに衝撃を受けたことは様々なメディアで語られてますが、
「ウィザードリィから影響を受けた」とは明言していない)、
今回こうしてFFシリーズにも深く携わっている河津氏から、
ウィザードリィからの影響について語られたことは記録しておこうかと思います。
そして、個人的に気になったツイートがもう1つ。
Unixのゲームにhuckというのがあります。ダンジョンを探索するのですが、食料がなくなると飢え死にします。倒したモンスターを食料に出来るのですが、食べたモンスターによっては変な能力が身についてしまいます。これをモンスターの成長システムにアレンジしたのが肉システムです。 https://t.co/y4n6uGDQnY
— 河津秋敏 (@SaGa30kawazu) December 12, 2020
(注:文中の「huck」は「hack」の誤字という訂正ツイートあり)
GBのサガシリーズで特徴的だった、
「倒したモンスターの肉を食べて別のモンスターに変異していく」システム。
このシステムの元ネタが、UNIXのゲーム『hack』である…との事。
Unixで「hack」と言えば、
おそらく『NetHack』の前身にあたるゲームでしょう。
(参考:英語版のwikipedia記事「Hack」)
『ローグ』をベースとしつつも、職業やアイテム・モンスターを大量に追加、
さらに複数のダンジョンや店などを追加して、
大幅に拡張したローグライクゲームです。
同ゲームではモンスターの肉を食べる事により、
満腹度を回復するほかに毒に耐性を付けていったり、
時にはモンスターの毒にあたって大変なことになったり…と、
モンスターの肉に様々な活用方法があったわけですが、
それがまさかサガシリーズの肉システムの元とは全く気付きませんでした。
一時期筆者は『NetHack』を結構遊んでたのに…(汗)
『NetHack』は初代『風来のシレン』の元ネタでもありまして、
例えば「保存の壺」に相当する「軽量化の鞄」、
魔法のマーカーで知っている巻物の名前を書き込むと、
その巻物の代用として使える「白紙の巻物」といったアイテムや、
アイテムが置いてあって盗み出すことができる店、
メインダンジョン最終階層手前の複数フロアにまたがる「試練」など、
『風来のシレン』でアレンジされつつ収録された要素が多数あります。
あくまで「モンスターの肉」という1システムに限った要素とは言え、
まったく作風が異なっている『サガ』と『シレン』に、
共通の元ネタがあった…というのが個人的に驚きではありました。