August 30, 2015
3DダンジョンRPG温故知新・第1回『カードマスター リムサリアの封印』
3DダンジョンRPG関係の記事がメインの当blogでございますが、
基本的に最近の作品ばかりで、過去作についてはあまり取り扱っておりませんでした。
そこで「どうせ過去作を取り扱うのなら、現代にあまり名前が残っていない、
比較的マイナーな3DダンジョンRPGにあえて注目してみよう!」というコンセプトで、
「3DダンジョンRPG温故知新」と銘打って記事を書いてみようと思い立った次第です。
記念すべき第1回は、1992年にHAL研究所よりSFC向けにリリースされた、
『カードマスター リムサリアの封印』を取り上げてみようかと思います。
戦乱の島・エレメン島。
十数年前に起こった魔術師ガルネールの反乱により、
父と母を殺された主人公ルークス。
唯一形見として残された、精霊を封じた「カード」。
それを扱うための職業である「カードマスター」としての修業を終え、
彼が故郷に戻ってきたところから物語は始まります。
このゲームには3DダンジョンRPGに多い「キャラメイク」等の要素はなく、
主人公と彼を取り巻く多くの登場人物が、ストーリー進行に従って適宜仲間になる…という、
一般的なJRPGを踏襲した作品になっています。
「カードマスター」というタイトル通り、
味方キャラクターや敵がカードを模した枠に描かれている画面構成が特徴的。
また、主人公だけが使えるアイテム「カード」もこのゲームの特徴で、
手持ちの各属性のカードを複数枚使用することで強力な全体攻撃が可能。
カードの持てる枚数には限りがありますが、敵に囲まれた時など、
ここぞという時に使って敵を殲滅するのはなかなか気持ちの良いものだったり。
(現代だとこういったタイトルからは『マジック・ザ・ギャザリング』『遊戯王』といった、
トレーディングカードゲーム風のものを想像されるかもしれないですが、
本作にはそういったデッキ構築等のTCG的要素はありません。
世界最初の本格的なトレーディングカードゲームである
『マジック・ザ・ギャザリング』の登場は1993年と本作より遅く、
TCGの影響を受けようがなかった時代、
TRPGやカードを使うボードゲームの延長線上にある作品なのです)
また、NPCとは別に、各属性の四大精霊を使い魔として使役するシステムもあり。
(風の精霊シルフ、火の精霊エフリート、水の精霊マリッド、土の精霊ダオ)
精霊は武具の装備こそできないけれども、各属性の強力な攻撃魔法や支援魔法が使えます。
精霊はHPMPが移動中自動回復するので、MP残量をあまり気にせず、
強力な攻撃魔法をガンガンぶっ放せるのも気持ちよいポイント。
属性の優劣に応じて場に出す精霊を適宜切り替える必要があるのも、
後の「ポケモン」を先取りしている…というのは言い過ぎでしょうか(笑)
またパーティメンバーやモンスターがアニメーションする、
各種ドット絵がかなり書き込まれているなど、
グラフィック面でもSFCとしては力が入っている印象を受けます。
(特に宿屋のお姉さんが各章で異なり、
どれも妙にセクシーで気合が入っているように感じるのは気のせいだろうか)
音楽も『星のカービィ』シリーズを手掛けたスタッフによるもので、
特にラスボス戦のBGMは「これぞラストバトル!」と言わんばかりのゲームミュージック。
3DダンジョンRPGの地味なイメージを、音楽面からも覆すような印象を受けました。
システム面でもオートマッピングも搭載し、
デメリットなく何度も見直せるなど、筆者はこのゲームから、
「既存の3DダンジョンRPGのイメージを覆すようなRPGにしよう」という強い意志を感じました。
このゲームが出るまでのおよそ1年間に発売された、
3DダンジョンRPGを参考までに挙げてみると…
・シャドウブレイン(FC, ポニーキャニオン, 1991/3/21)
・AD&D プールオブレイディアンス(FC, ポニーキャニオン, 1991/6/28)
・ドラゴンウォーズ(FC, ケムコ, 1991/8/9)
・ダンジョンマスター (SFC, ビクターエンタテインメント, 1991/12/20)
・バーズテイルII(FC, ポニーキャニオン, 1992/1/25)
参考:
ファミコンロールプレイングゲーム一覧:レトロゲームFAN
http://retoro.g-player.com/famicon/rpg/index.html
RPG:SFCデータベース
http://i-njoy.net/sfc_db.php?g=2
4作品がPCからの移植であり、どれも比較的難易度が高いものとなっています。
また、当時(主にファミコン必勝本界隈が独自に)「四大RPG」と呼んでいた、
『ウィザードリィ』『女神転生』シリーズも人気を博していて、
新作(『ウィザードリィ5』『真・女神転生』)もSFCでの発売を控えていた時代でしたが、
これらの3DダンジョンRPGもやはり当時のRPGの水準(≒ドラクエ)と比較すると、
やはりかなり高いものになっています。
そんな中、あえて「キャラクター重視」「ビジュアル重視」
「(オートマッピング等の)親切設計」を推しだした本作。
当時ですらすでに高難易度の印象があった「3DダンジョンRPG」というジャンルに対し、
あえてその常識を崩し、幅広い層にこのジャンルを知ってもらいたい、という思いが、
このゲームからは伝わってきます。
パッケージ裏の「誰でも遊べる親切設計!」というフレーズや、
全体的にFC・SFC時代のゲーム攻略本を思わせる説明書の記述にも、それは現れています。
そういった本作のコンセプトは、
近年数多くの3DダンジョンRPGを世に出してきたメーカーが送り出している、
『新・世界樹の迷宮』『エルミナージュ異聞アメノミハシラ』『レイギガント』といった、
この手のゲームの未経験者に向けた作品群に通じるものがあります。
ただ本作、移動がアニメーションを挟んで結構重い、
ダンジョン間のショートカットなどが存在しないため、
拠点とダンジョンの往復がかなり面倒
(帰るのは魔法やアイテムで一発だが、再び元の場所に戻るのが手間)、
突然ソロ+使い魔の進行を強いられる展開になるのに、
ザコ敵の強さが味方離脱前と同じ…といった理不尽な展開がある、
ダンジョン内にトラップらしいトラップがないため進行が全体的に単調など、
現代の3DダンジョンRPGの基準から見ると、かなり苦しい点があるのも事実です。
また終盤は高威力の全体攻撃を連発するザコ敵が出る、
ラスボスがそれまでのバランスを考えてもずば抜けて強い
(しかもセーブポイントは拠点にしかないので、負けるとかなりやり直し)…など、
難易度的には決して簡単とは言えないようなものになっています。
筆者は本作を複数プラットフォーム対応互換機であるRetron5でプレイしましたが、
この互換機の倍速プレイ機能、ステートセーブ機能なしには、
ゲーム後半のプレイがかなり厳しかったです(笑)
ストーリー部分も個人的には意外性があって楽しめたのですが、
全体的に「こども向け」な文章回しの印象が強く、
いい大人が今から遊んで楽しめる作品か、と問われると正直微妙な印象。
本作は「3DダンジョンRPGの未経験者に向けた」作品の先駆者として、
そして、未経験者向けの調整の難しさを改めて認識する作品として、
本作を今こそ遊び直してみるのも悪くないのではないかと、そう思わされた作品でした。
「テクニカルアドバイザー」という肩書で任天堂の故・岩田社長が、
またスペシャルサンクスで『スマブラ』等の作品で知られる桜井政博氏が携わった、
唯一の3DダンジョンRPGという意味でも本作は貴重なタイトルかもしれません。
以下、完全な余談。
本作のヒロインの1人、ティーファはSFC史上屈指の「はいてない」系ヒロインではなかろうか?(暴言)
よく見るとわざわざ乳袋を強調するような服を着てるし、いゃぁファンタジーヒロインっていいものですね…!
基本的に最近の作品ばかりで、過去作についてはあまり取り扱っておりませんでした。
そこで「どうせ過去作を取り扱うのなら、現代にあまり名前が残っていない、
比較的マイナーな3DダンジョンRPGにあえて注目してみよう!」というコンセプトで、
「3DダンジョンRPG温故知新」と銘打って記事を書いてみようと思い立った次第です。
記念すべき第1回は、1992年にHAL研究所よりSFC向けにリリースされた、
『カードマスター リムサリアの封印』を取り上げてみようかと思います。
戦乱の島・エレメン島。
十数年前に起こった魔術師ガルネールの反乱により、
父と母を殺された主人公ルークス。
唯一形見として残された、精霊を封じた「カード」。
それを扱うための職業である「カードマスター」としての修業を終え、
彼が故郷に戻ってきたところから物語は始まります。
このゲームには3DダンジョンRPGに多い「キャラメイク」等の要素はなく、
主人公と彼を取り巻く多くの登場人物が、ストーリー進行に従って適宜仲間になる…という、
一般的なJRPGを踏襲した作品になっています。
「カードマスター」というタイトル通り、
味方キャラクターや敵がカードを模した枠に描かれている画面構成が特徴的。
また、主人公だけが使えるアイテム「カード」もこのゲームの特徴で、
手持ちの各属性のカードを複数枚使用することで強力な全体攻撃が可能。
カードの持てる枚数には限りがありますが、敵に囲まれた時など、
ここぞという時に使って敵を殲滅するのはなかなか気持ちの良いものだったり。
(現代だとこういったタイトルからは『マジック・ザ・ギャザリング』『遊戯王』といった、
トレーディングカードゲーム風のものを想像されるかもしれないですが、
本作にはそういったデッキ構築等のTCG的要素はありません。
世界最初の本格的なトレーディングカードゲームである
『マジック・ザ・ギャザリング』の登場は1993年と本作より遅く、
TCGの影響を受けようがなかった時代、
TRPGやカードを使うボードゲームの延長線上にある作品なのです)
また、NPCとは別に、各属性の四大精霊を使い魔として使役するシステムもあり。
(風の精霊シルフ、火の精霊エフリート、水の精霊マリッド、土の精霊ダオ)
精霊は武具の装備こそできないけれども、各属性の強力な攻撃魔法や支援魔法が使えます。
精霊はHPMPが移動中自動回復するので、MP残量をあまり気にせず、
強力な攻撃魔法をガンガンぶっ放せるのも気持ちよいポイント。
属性の優劣に応じて場に出す精霊を適宜切り替える必要があるのも、
後の「ポケモン」を先取りしている…というのは言い過ぎでしょうか(笑)
またパーティメンバーやモンスターがアニメーションする、
各種ドット絵がかなり書き込まれているなど、
グラフィック面でもSFCとしては力が入っている印象を受けます。
(特に宿屋のお姉さんが各章で異なり、
どれも妙にセクシーで気合が入っているように感じるのは気のせいだろうか)
音楽も『星のカービィ』シリーズを手掛けたスタッフによるもので、
特にラスボス戦のBGMは「これぞラストバトル!」と言わんばかりのゲームミュージック。
3DダンジョンRPGの地味なイメージを、音楽面からも覆すような印象を受けました。
システム面でもオートマッピングも搭載し、
デメリットなく何度も見直せるなど、筆者はこのゲームから、
「既存の3DダンジョンRPGのイメージを覆すようなRPGにしよう」という強い意志を感じました。
このゲームが出るまでのおよそ1年間に発売された、
3DダンジョンRPGを参考までに挙げてみると…
・シャドウブレイン(FC, ポニーキャニオン, 1991/3/21)
・AD&D プールオブレイディアンス(FC, ポニーキャニオン, 1991/6/28)
・ドラゴンウォーズ(FC, ケムコ, 1991/8/9)
・ダンジョンマスター (SFC, ビクターエンタテインメント, 1991/12/20)
・バーズテイルII(FC, ポニーキャニオン, 1992/1/25)
参考:
ファミコンロールプレイングゲーム一覧:レトロゲームFAN
http://retoro.g-player.com/famicon/rpg/index.html
RPG:SFCデータベース
http://i-njoy.net/sfc_db.php?g=2
4作品がPCからの移植であり、どれも比較的難易度が高いものとなっています。
また、当時(主にファミコン必勝本界隈が独自に)「四大RPG」と呼んでいた、
『ウィザードリィ』『女神転生』シリーズも人気を博していて、
新作(『ウィザードリィ5』『真・女神転生』)もSFCでの発売を控えていた時代でしたが、
これらの3DダンジョンRPGもやはり当時のRPGの水準(≒ドラクエ)と比較すると、
やはりかなり高いものになっています。
そんな中、あえて「キャラクター重視」「ビジュアル重視」
「(オートマッピング等の)親切設計」を推しだした本作。
当時ですらすでに高難易度の印象があった「3DダンジョンRPG」というジャンルに対し、
あえてその常識を崩し、幅広い層にこのジャンルを知ってもらいたい、という思いが、
このゲームからは伝わってきます。
パッケージ裏の「誰でも遊べる親切設計!」というフレーズや、
全体的にFC・SFC時代のゲーム攻略本を思わせる説明書の記述にも、それは現れています。
そういった本作のコンセプトは、
近年数多くの3DダンジョンRPGを世に出してきたメーカーが送り出している、
『新・世界樹の迷宮』『エルミナージュ異聞アメノミハシラ』『レイギガント』といった、
この手のゲームの未経験者に向けた作品群に通じるものがあります。
ただ本作、移動がアニメーションを挟んで結構重い、
ダンジョン間のショートカットなどが存在しないため、
拠点とダンジョンの往復がかなり面倒
(帰るのは魔法やアイテムで一発だが、再び元の場所に戻るのが手間)、
突然ソロ+使い魔の進行を強いられる展開になるのに、
ザコ敵の強さが味方離脱前と同じ…といった理不尽な展開がある、
ダンジョン内にトラップらしいトラップがないため進行が全体的に単調など、
現代の3DダンジョンRPGの基準から見ると、かなり苦しい点があるのも事実です。
また終盤は高威力の全体攻撃を連発するザコ敵が出る、
ラスボスがそれまでのバランスを考えてもずば抜けて強い
(しかもセーブポイントは拠点にしかないので、負けるとかなりやり直し)…など、
難易度的には決して簡単とは言えないようなものになっています。
筆者は本作を複数プラットフォーム対応互換機であるRetron5でプレイしましたが、
この互換機の倍速プレイ機能、ステートセーブ機能なしには、
ゲーム後半のプレイがかなり厳しかったです(笑)
ストーリー部分も個人的には意外性があって楽しめたのですが、
全体的に「こども向け」な文章回しの印象が強く、
いい大人が今から遊んで楽しめる作品か、と問われると正直微妙な印象。
本作は「3DダンジョンRPGの未経験者に向けた」作品の先駆者として、
そして、未経験者向けの調整の難しさを改めて認識する作品として、
本作を今こそ遊び直してみるのも悪くないのではないかと、そう思わされた作品でした。
「テクニカルアドバイザー」という肩書で任天堂の故・岩田社長が、
またスペシャルサンクスで『スマブラ』等の作品で知られる桜井政博氏が携わった、
唯一の3DダンジョンRPGという意味でも本作は貴重なタイトルかもしれません。
以下、完全な余談。
本作のヒロインの1人、ティーファはSFC史上屈指の「はいてない」系ヒロインではなかろうか?(暴言)
よく見るとわざわざ乳袋を強調するような服を着てるし、いゃぁファンタジーヒロインっていいものですね…!