August 10, 2015

エクスペリエンスの新たなマイルストーン。『レイギガント』クリア後感想

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プラチナトロフィーまで獲得しました、レイギガント
ここまでの感想を簡単に書き残しておこうと思います。

筆者のファーストインプレッション記事はこちらから。



ファーストインプレッションでは、
「既存の3DダンジョンRPGの常識に当てはまらない作品」と感じた本作ですが、
本作はそれが最後の最後まで貫き通されています。

キャラクターメイキング無し。
アイテムドロップ要素無し。
死と隣り合わせのような難易度の高さは無し。

今までのエクスペリエンス作品も、どちらかというとこういう作風を売りにしてましたが、
本作ではそれらをバッサリ切り捨て、代わりにノベルゲーム並のテキスト要素を搭載。
本作は3DダンジョンRPGに常識と思われていた要素を求める人ほど、
拒否反応が強い作品になるかと思います。

そういった印象の本作、「3Dダンジョン」の部分はかなり興味深く、
導入となる第1章こそかなりシンプルなダンジョンとなっておりますが、
2章後半あたりからダンジョン構造が複雑になり、
「あらかじめすべての敵シンボルが見えている」事を逆手に取った構造も増えてきます。
こういった構造は今までの3DダンジョンRPGにないもので、
個人的には結構印象に残りました。
特に最終章のダンジョンの構造はオートマッピング常時表示一部不可や、
複数階層を織り交ぜた一筋縄ではいかない内容。
全くの3DダンジョンRPG初心者でも楽しめるように窓口は広いが、
決して易し過ぎることなく、クリアした後には絶妙な達成感が残る
…という、
レベルデザインの思想の一貫性を感じました。

戦闘もザコ相手にはテンポよく、
ボス相手にはある程度戦略を考えないと苦労するようなバランス調整。
第3章以降のボスは、明確な役割分担と
SBM(音ゲーによる超連続攻撃)の使い処を考えないとかなり難しくなります。
特にラスボスはかなり強く、HPを減らしていくとだんだん攻撃防御が強化され、
(スーパーロボット大戦のHP6桁底力持ちのボスを相手にしているような感覚)
SBMを連発してようやく削りきったときのこの達成感。
こういった感覚は、今までのエクスペリエンス作品に無かったものです。
(そしてその後に思わぬ要素があってまた驚いたわけですが、
そこはネタバレなので伏せさせてください)


ただこのゲーム、色々と「粗い」部分が多いのは確かです。
序盤が単調すぎるとか、
大型ギガント戦の前に特に説明もなく潜らされる脱出ダンジョンの無理やり感とか、
第3章の海底ダンジョンの歩ける場所の区別がつきにくいだとか、
ある人物の名前の呼称が特に意味無くカタカナと漢字の2種が混在してるだとか、
ノベルパートでオートやスキップ、バックログが実装されておらずこの辺は快適でないとか、
ダンジョンで画面に表示されるオブジェの数が多くなると頻繁に処理落ちするとか、
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17章ボス戦で一弥・カイルのどちらかが戦闘不能のままボス戦に入るとフリーズするとか、
ラストダンジョンだろうが戦闘終了後に得られるリソースの数は
序盤のダンジョンから全く変わらないため、
強化に数十個単位で必要な終盤では戦闘のリスクに見合うリターンを得られていないとか
(以前のダンジョンに戻り直すこともできない)、
最後まで行ってしまうとレベル上げが困難だとか、
トロフィーコンプリートまでおよそ20〜25時間前後で行けるので、
人によってはおそらく短さを感じるのではないか、とか、
そもそもクリア後要素が実装されていないとか。
(但し、2周目要素を追加するパッチが9月上旬に配信されることは明言されてます)

(※2015/09/27追記:引き継ぎなし2周目攻略メモについて記事を書きました)


正直なところ、ゲームとしての粗は出そうと思えばいくらでも出てくる作品です。
今までの3DダンジョンRPGの常識や各種の粗を見て減点法で評価するなら、
本作品の評価はおそらく、恐ろしく低いものになるでしょう。


とは言え、既存の3DダンジョンRPGの常識を捨ててまで、
新たな3DダンジョンRPGの表現手法を見出そうとしている本作を、筆者は評価したいのです。
面白かったか?と問われれば、「自分は面白かった」と間違いなく答える、そんな作品。


本作の開発を行ったエクスペリエンスが某企業の開発チーム時代に手がけた、
ウィザードリィ エクス』も、「学園が舞台」「既存ファンタジーと一線を画す各種種族」
…といった設定で既存のウィザードリィの常識を(半ば意図的に)捨てていて、
ゲーム自体の完成度も決して高いとは言えなかった作品でしたが、
シリーズ2作目で一気に完成度が上がり、
後続作品への影響も決して少なくないものとなった経緯を考えると、
筆者は9月配信予定の本作のパッチや、将来本作の路線でまた作成されるであろう、
あるいは本作で得たノウハウが活かされるであろう、
エクスペリエンスの今後の作品も楽しみです。

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この記事へのコメント

1. Posted by 児斗玉文章   August 16, 2015 14:03
なるほど、ファーストインプレッションでのいいイメージそのままで最後まで行けたようですね。
言われてみれば後方視点ダンジョンRPGは「こうでなければならない」縛りがきつかったのでしょう。
縛りがあったことにすら気づかないでいました。
2. Posted by シロ   August 19, 2015 10:27
ライトユーザー向けに作ってあるのをひしひしと感じる作品でしたが、ライトユーザーが好む「好きなキャラだけでパーティーを組みたい」という欲求を満たせていないので中途半端な印象を抱きました。次回作に期待したいです
3. Posted by jzunkodj4y   August 19, 2015 23:51
>児斗玉文章様
ゲーム全体から「3DダンジョンRPGに対する概念を壊したい」というような、
そういった思考錯誤の跡を作品の部分部分から感じましたね。
このジャンルを牽引しているエクスペリエンス社自身がそういった取り組みに前向きであるのは、
悪くない傾向ではないかと個人的には思います。

>シロ様
パーティメンバーが進行によって固定なのはノベルパートの展開を重視した結果だと思われますが、
自分もやっぱりパーティが組み替えられないのは若干違和感がありましたね…
クリア後の要素でそういったオマケモードがあったら、少し印象は違ったかもしれません
(なんかGBAリメイク以降のFF2みたいですが…w)

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